生活習慣病は、毎日の食事、運動、睡眠、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関わって発症する病気の総称です。代表的なものに、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高コレステロール血症など)があります。これらの病気は、自覚症状が少ないまま進行し、放置すると心筋梗塞や脳卒中といった重篤な病気を引き起こすリスクが高まるため、「サイレントキラー(静かなる殺人者)」とも呼ばれています。

当クリニックでは、患者様の健康寿命を延ばし、将来の大きな病気を予防するため、生活習慣病の早期発見、適切な治療、そして継続的な管理に力を入れています。

1. 診断

正確な診断は、適切な治療の第一歩です。

  • 問診:
    • 現在の症状(自覚症状がないことが多いですが、何か気になることがあればお伺いします)。
    • 生活習慣(食生活、運動習慣、喫煙歴、飲酒歴、睡眠時間など)。
    • 既往歴(過去にかかった病気)、ご家族の病歴(遺伝的な要因も関係することがあります)。
    • 服用中のお薬など。
  • 身体診察:
    • 血圧測定: 高血圧の診断に不可欠です。
    • 体重・身長測定、BMIの算出: 肥満度を確認します。
    • 必要に応じて、聴診や触診などを行います。
  • 血液検査:
    • 高血圧: 腎臓や肝臓の機能、電解質などを確認し、二次性高血圧(他の病気が原因の高血圧)の有無も確認します。
    • 糖尿病: 血糖値(空腹時血糖、随時血糖)やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー:過去1~2ヶ月の血糖の平均値)を測定します。これにより、糖尿病の有無や血糖コントロールの状態がわかります。
    • 脂質異常症: コレステロール(LDL-C:悪玉、HDL-C:善玉)、中性脂肪などを測定します。
  • 尿検査:
    • 糖尿病の場合、尿糖や尿蛋白(腎臓への影響)などを確認します。
  • 心電図検査:
    • 高血圧や脂質異常症が心臓に負担をかけていないか、不整脈がないかなどを確認します。

これらの検査結果を総合的に判断し、診断を確定します。

2. 治療と管理

診断結果に基づき、患者様一人ひとりの状態やライフスタイルに合わせた治療計画をご提案します。治療の基本は「生活習慣の改善」ですが、必要に応じて「薬物療法」を併用します。

A. 生活習慣の改善(非薬物療法)

これは、どの生活習慣病においても非常に重要であり、治療の土台となります。

  • 食事療法:
    • 高血圧: 塩分を控える(減塩)。
    • 糖尿病: 糖質、脂質の摂りすぎに注意し、バランスの取れた食事を心がける。規則正しい時間に、適量を摂取する。
    • 脂質異常症: 動物性脂肪やコレステロールの多い食品を控え、食物繊維を積極的に摂る。
    • 専門の管理栄養士による栄養指導が必要な場合は、ご紹介することも可能です。
  • 運動療法:
    • ウォーキングや軽いジョギングなど、有酸素運動を中心に、無理のない範囲で継続的に体を動かすことが大切です。
    • 筋肉量を増やす運動も、血糖コントロールや脂質代謝の改善に役立ちます。
  • 適正体重の維持: 肥満は、ほとんどの生活習慣病を悪化させる要因となります。適正な体重を維持することが大切です。
  • 禁煙・節酒: 喫煙は血管を傷つけ、病気を悪化させます。飲酒も過度であれば、血圧や血糖、中性脂肪を上げる原因になります。
  • 十分な睡眠とストレス管理: 不規則な生活や過度なストレスは、生活習慣病に悪影響を及ぼすことがあります。
B. 薬物療法

生活習慣の改善だけでは目標値に達しない場合や、病状が進行している場合には、お薬による治療を開始します。

  • 高血圧: 血圧を下げる薬を、患者さんの状態や合併症を考慮して選択します。
  • 糖尿病: 血糖値を下げる薬(飲み薬や、必要に応じてインスリン注射)を、血糖値や病状に応じて選択します。
  • 脂質異常症: コレステロールや中性脂肪を下げる薬を処方します。

薬は、症状がなくても継続して服用することが大切です。自己判断で中断すると、病状が悪化し、重篤な合併症を引き起こすリスクが高まります。

3. 継続的な管理

生活習慣病は、一度診断されると、生涯にわたる管理が必要になることが多い病気です。

  • 定期的な受診と検査:
    • 病状や薬の効果を確認するため、定期的に採血や尿検査、血圧測定などを行います。
    • 合併症(腎臓病、眼の病気、神経障害など)の早期発見のため、必要に応じて専門医への紹介や、連携施設での精密検査をご案内します。
  • 目標設定と評価:
    • 患者様と一緒に、目標となる血圧値や血糖値、コレステロール値などを設定し、達成度を評価しながら治療を進めます。
  • 個別のアドバイス:
    • 患者様のライフスタイルや悩み、疑問に寄り添い、具体的なアドバイスを提供します。
    • 「どうしたらもっと健康になれるか」「こんな時どうしたらいいか」といったご相談にも丁寧に対応します。

生活習慣病は、早期から適切なケアを行うことで、将来の健康を守ることができる病気です。当クリニックでは、患者様がご自身の健康を管理できるよう、きめ細やかにサポートしてまいります。

何かご不明な点やご心配なことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

呼吸器疾患、消化器疾患などの一般内科診療

「体調が悪いけれど、何科に行けばいいかわからない」「風邪かな?」「お腹の調子が悪い」といった、日常的によくある体の不調から、少し専門的な病気まで、幅広く診察しているのが一般内科です。当クリニックは、皆様の「かかりつけ医」として、どんな体の不調でも気軽に相談できる場所でありたいと考えています。

どんな時に一般内科を受診すればいいの?

以下のような症状がある時に、ぜひご相談ください。

  • 風邪のような症状: 発熱、咳、喉の痛み、鼻水、倦怠感など
  • 呼吸器の症状: 咳が続く、痰がからむ、息苦しい、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)など
  • 消化器の症状: 胃の痛み、胸焼け、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、お腹の張り、食欲不振など
  • その他の体の不調: 頭痛、めまい、貧血、立ちくらみ、だるさ、体重の変化(急な減少や増加)、発疹、関節の痛み、夜間の症状など

「こんなことで受診していいのかな?」と迷うような症状でも、お気軽にご相談ください。早期に適切な診断と治療を行うことで、症状の悪化を防ぎ、早く回復できることも少なくありません。


一般内科で行われる診療の流れ

  1. 丁寧な問診 まず、患者様のお話をじっくり伺います。いつから、どのような症状があるのか、症状の強さや頻度、悪化する要因、他に気になること、これまでの病歴、服用中の薬など、詳しくお聞かせください。皆様の言葉が、診断の手がかりとなります。
  2. 身体診察 問診で得られた情報をもとに、医師が診察を行います。必要に応じて、以下のような診察を行います。
    • 視診: 顔色、皮膚の状態、目の色などを観察します。
    • 触診: お腹の張りや痛み、リンパ節の腫れなどを確認します。
    • 聴診: 呼吸音や心臓の音に異常がないか、聴診器を使って確認します。
    • 打診: お腹や胸を軽く叩いて、異常な音がないか確認します。
    • 血圧測定・検温: 体の基本的な状態を把握します。
  3. 検査 診察で得られた情報から、病気の可能性を絞り込み、必要に応じて適切な検査を行います。当クリニックで可能な主な検査は以下の通りです。
    • 血液検査: 炎症の有無、貧血、感染症、肝機能、腎機能、血糖値、コレステロール値など、様々な体の状態を調べることができます。
    • 尿検査: 腎臓や泌尿器系の病気、糖尿病などの手がかりを得られます。
    • 心電図検査: 不整脈や心臓の負担がないかなどを確認します。
    • X線(レントゲン)検査: 肺炎や気管支炎などの呼吸器の病気、骨の異常などを確認します。
    • 迅速診断キット: インフルエンザや溶連菌感染症など、一部の感染症は短時間で診断できます。
    より専門的な検査(内視鏡検査、CT、MRIなど)が必要な場合は、提携する高次医療機関(病院など)へご紹介します。

診断と治療、そして管理

検査結果と診察所見を総合的に判断し、診断を確定します。その後、診断に基づいて最適な治療法をご提案します。

  • 呼吸器疾患(例: 風邪、気管支炎、肺炎、喘息など)
    • 風邪や急性気管支炎であれば、対症療法(症状を和らげる薬)や、必要に応じて抗生物質を処方します。
    • 肺炎の場合は、薬物療法に加え、必要に応じてX線検査で経過を確認します。
    • 喘息の場合、発作を抑える薬や予防薬を処方し、吸入指導なども行います。
  • 消化器疾患(例: 胃炎、胃腸炎、便秘、過敏性腸症候群など)
    • 胃炎や胃腸炎であれば、胃酸を抑える薬や整腸剤、吐き気止めなどを処方します。
    • 便秘や下痢に対しては、生活習慣のアドバイスに加え、適切な薬を処方します。
    • 必要に応じて、食生活の改善やストレス管理についてもアドバイスします。
  • その他
    • 症状が続く場合や、重篤な病気が疑われる場合は、より詳しい検査や専門治療が必要となるため、連携する高次医療機関へ迅速にご紹介します。
    • 慢性的な症状や病気については、生活習慣のアドバイスを含め、定期的な診察と管理でサポートします。

当クリニックは、皆様の健康の入り口であり、何かあった時に最初に相談できる場所です。どんな些細なことでも構いませんので、体の不調を感じたら、どうぞお気軽にご来院ください。一緒に、健康な生活をサポートしていきましょう。

各種健康診断、予防接種

当クリニックは、皆様の「かかりつけ医」として、病気の治療だけでなく、病気になる前の「予防」にも力を入れています。健康診断と予防接種は、その予防のための大切な二つの柱です。

1. 各種健康診断

健康診断は、ご自身の体の状態をチェックし、病気の早期発見や生活習慣病の予防に役立てるための大切な機会です。症状がなくても、体の内側で病気が進行していることがあります。定期的に健康診断を受けることで、将来の大きな病気を未然に防ぐことができます。

当クリニックで受けられる主な健康診断は以下の通りです。

  • 企業健診(雇入時健診、定期健診) 会社にお勤めの方が、法律で定められた項目をチェックする健康診断です。入社時や、年に一度の定期的な健康チェックとして受診いただけます。
    • 主な内容: 身長・体重測定、視力・聴力検査、血圧測定、尿検査、胸部X線検査、血液検査(貧血、肝機能、脂質、血糖など)、心電図検査、医師の診察など。
  • 特定健診(特定健康診査) 40歳から74歳までの方を対象とした、メタボリックシンドロームに着目した健康診断です。生活習慣病の発症や重症化を予防することを目的としています。
    • 主な内容: 腹囲測定、身長・体重測定、血圧測定、尿検査、血液検査(血糖、脂質、肝機能など)、医師の診察など。健診結果に基づき、必要に応じて特定保健指導(生活習慣の改善アドバイス)をご案内します。
  • 自費健診(任意健診) 上記以外の目的や、ご希望に応じて、必要な項目を組み合わせて実施する健康診断です。
    • 例: 診断書作成のための健診、ご自身の健康状態を詳しく知りたい方、就職や進学で特定の検査が必要な方など。ご希望の内容に応じてご相談ください。

健康診断を受けるメリット

  • 病気の早期発見: 自覚症状がない段階で、病気の兆候を見つけ出すことができます。
  • 生活習慣病の予防・改善: 健診結果から、ご自身の生活習慣の問題点に気づき、改善するきっかけになります。
  • 安心感: 定期的に健康状態をチェックすることで、心身の安心につながります。

健康診断を受ける際の注意点

  • 前日の食事や飲酒の制限など、検査項目によって事前準備が必要な場合があります。ご予約の際にご案内いたしますので、ご確認ください。
  • 健診結果は後日、丁寧にご説明し、もし異常が見つかった場合は、今後の精密検査や治療についてご提案いたします。

2. 予防接種

予防接種は、あらかじめ病原体に対する免疫を体につけておくことで、特定の病気にかかるのを防いだり、かかっても重症化するのを防いだりするためのものです。ご自身を守るだけでなく、周りの人への感染を防ぐことにもつながります。

当クリニックで接種可能な主な予防接種は以下の通りです。

  • インフルエンザワクチン 毎年冬に流行するインフルエンザを予防するためのワクチンです。接種することで、インフルエンザの発症を抑えたり、かかっても重症化(肺炎や脳症など)を防ぐ効果が期待できます。毎年、流行前に接種することをおすすめします。
  • 肺炎球菌ワクチン 高齢者の方に特に推奨されるワクチンです。肺炎球菌という細菌による肺炎は、重症化しやすく、命に関わることもあります。このワクチンを接種することで、肺炎球菌による肺炎の予防や重症化を防ぐ効果が期待できます。定期接種の対象となる年齢の方には、松川村の助成制度もあります。
  • その他の予防接種 上記以外にも、帯状疱疹ワクチンや麻疹・風疹混合(MR)ワクチンなど、ご希望に応じて対応可能な予防接種もありますので、ご相談ください。

予防接種を受けるメリット

  • 病気の発症予防: 特定の感染症にかかるリスクを大幅に減らすことができます。
  • 重症化予防: もし感染しても、症状が軽くなったり、合併症を防いだりする効果が期待できます。
  • 社会全体の感染拡大防止: 多くの人が免疫を持つことで、社会全体での感染症の流行を抑えることにつながります(集団免疫)。

予防接種を受ける際の注意点

  • 予防接種の種類によって、接種回数や間隔、接種後の注意点(副反応など)が異なります。
  • 体調が悪い時や、熱がある時は接種できません。
  • 事前にご予約が必要な場合がありますので、まずはお電話でお問い合わせください。

健康診断と予防接種は、皆様の「健康」を維持し、将来の「安心」を守るための大切なステップです。ご不明な点やご心配なことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。