牽引、低周波、温熱療法などによる痛みの緩和

痛みは日常生活に大きな影響を与え、つらいものですよね。整形外科や内科のクリニックでは、薬の服用や注射だけでなく、物理療法という方法で痛みを和らげ、体の回復をサポートしています。当クリニックで行っている主な物理療法は、牽引療法低周波療法温熱療法などです。これらは、体の外からアプローチして、痛みの軽減や血行促進、筋肉のリラックス効果を期待する治療法です。

1. 牽引(けんいん)療法

  • どんな治療? 首(頚椎)や腰(腰椎)を、機械を使ってゆっくりと引っ張る治療法です。椅子に座る、またはベッドに寝た状態で、専用の装置を使って行います。
  • 何のために行うの? 首や腰の骨の間隔を広げ、神経への圧迫を和らげたり、筋肉の緊張をほぐしたりする効果が期待できます。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などによる首や腰の痛み、手足のしびれなどに用いられます。引っ張る強さや時間は、患者さんの状態に合わせて調整しますのでご安心ください。
  • 治療中の感覚は? 痛みを感じることはほとんどなく、気持ちよく感じる方も多いです。

2. 低周波(ていしゅうは)療法

  • どんな治療? 体に微弱な電流を流して、筋肉や神経に刺激を与える治療法です。痛みのある部分や、その周辺にパッドを貼り付けて行います。
  • 何のために行うの? 電気刺激によって、痛みを伝える神経の働きを抑えたり、血行を促進して痛みの原因となる物質の排出を促したり、筋肉の緊張を和らげたりする効果が期待できます。肩こり、腰痛、関節の痛み、神経痛など、幅広い痛みに用いられます。ピリピリとした電気刺激が心地よく、マッサージを受けているような感覚です。
  • 治療中の感覚は? 「ピリピリ」「トントン」といった軽い電気刺激を感じます。強さは調整できますので、気持ちよいと感じるレベルに設定します。

3. 温熱(おんねつ)療法

  • どんな治療? 体の痛みのある部分を温める治療法です。ホットパック、マイクロ波、超音波などの様々な機器を使って行います。
  • 何のために行うの? 温めることで血行が良くなり、筋肉の緊張が和らぎ、痛みを感じにくくなります。また、体の自然治癒力を高める効果も期待できます。肩こり、腰痛、関節の痛み、神経痛、筋肉の張りなど、慢性的な痛みに効果的です。特に、冷えによって悪化する痛みに有効です。
  • 治療中の感覚は? じんわりと温かく、リラックスできる感覚です。心地よいと感じる温度に設定します。

物理療法を受ける際の注意点

これらの物理療法は、単独で行うだけでなく、お薬の服用やリハビリテーションなどと組み合わせて行うことで、より効果が期待できます。

ただし、病状によってはこれらの治療が適さない場合もあります。例えば、炎症が強い急性期の怪我や、特定の病気をお持ちの方などです。そのため、医師が患者様の状態をしっかり診察し、適切な治療法を判断させていただきます。

痛みを我慢せず、どうぞお気軽にご相談ください。患者様一人ひとりの症状に合わせて、最適な治療プランをご提案し、痛みの緩和をサポートさせていただきます。

ウォーターベッド型マッサージ器によるリラックス効果

ウォーターベッド型マッサージ器ってどんなもの?

当クリニックでは、痛みの緩和やリラックス効果のために、ウォーターベッド型マッサージ器を導入しています。これは、水圧を利用して全身を優しくマッサージする、新感覚のリラクゼーション機器です。

服を着たまま、ベッドに横になるだけで、水の噴射による心地よい刺激が、まるで人に揉みほぐしてもらっているかのように、全身の筋肉をリラックスさせてくれます。


ウォーターベッド型マッサージ器で期待できる効果

このウォーターベッド型マッサージ器には、以下のような効果が期待できます。

1. 筋肉の緊張緩和と血行促進

温かい水の力で体を優しく刺激することで、凝り固まった筋肉がほぐれやすくなります。筋肉の緊張が和らぐと、血行が促進され、老廃物の排出もスムーズになり、肩こりや腰の張り、全身のだるさの緩和につながります。

2. 痛みの緩和

血行が良くなることで、痛みを感じる物質が流れやすくなり、慢性的な痛み(肩こり、腰痛など)の緩和が期待できます。また、心地よい刺激は痛みの感覚を和らげる効果もあります。

3. リラックス効果とストレス軽減

水の揺らぎと、全身を包み込むような感覚は、まるで水面に浮いているかのような浮遊感を与え、心身ともに深いリラックス状態へと導きます。これにより、日頃のストレスや精神的な緊張が和らぎ、心身のリフレッシュにつながります。

4. 疲労回復

全身の血行が促進され、筋肉がリラックスすることで、疲労物質の除去が促され、体の回復を早める効果が期待できます。スポーツ後のケアや、普段の疲れを取りたい時にもおすすめです。


どんな時に利用するといいの?

  • 肩こりや腰痛でお悩みの方
  • 全身のだるさや疲労感を感じる方
  • ストレスを感じやすく、リラックスしたい方
  • 運動後のクールダウンやケア
  • 冷え性で血行促進したい方

治療中の感覚は?

治療中は、水の心地よい「プシュー」「シュッシュッ」という噴射音とともに、波打つような水の刺激が、全身を優しく揉みほぐしてくれます。強さやマッサージのパターンは調整できますので、お好みに合わせて設定することが可能です。服を着たまま行えるため、気軽に受けていただけます。

ウォーターベッド型マッサージ器は、あくまで痛みの緩和やリラックスを目的とした補助的な治療です。もし、つらい症状が続く場合は、医師による診察を受けていただくことが大切です。ご自身の状態に合わせて、このリラックス効果をぜひ体験してみてください。

何かご不明な点やご心配なことがありましたら、お気軽にスタッフまでお声がけください。

運動器リハビリテーション

運動器リハビリテーションって何?

「運動器」とは、骨、関節、筋肉、神経など、体を動かすために必要な器官全体のことを指します。運動器リハビリテーションは、これらの運動器の病気や怪我(骨折、捻挫、腰痛、肩こり、関節の痛みなど)によって、体の動きが悪くなったり、痛みが生じたりした際に、その機能を回復させ、日常生活やスポーツ活動に支障なく戻れるようサポートする治療です。

単に痛みを抑えるだけでなく、「なぜ痛みが出たのか」「どうすればまた動けるようになるのか」を根本から改善し、再発を防ぐことを目指します。


どんな時に運動器リハビリテーションを受けるの?

  • 骨折や捻挫、脱臼をした後、元の動きを取り戻したい時
  • 腰痛、膝の痛み、肩の痛みなど、慢性的な痛みを改善したい時
  • スポーツ中の怪我(肉離れ、靭帯損傷など)から復帰したい時
  • 手術後に、体の機能を回復させたい時
  • 体のバランスが悪くなった、転びやすくなったと感じる時
  • 日常生活で、特定の動作がやりにくくなった時(例:高い所の物が取れない、長く歩けないなど)

運動器リハビリテーションの流れ

当クリニックでは、患者様一人ひとりの状態や目標に合わせて、経験豊富な理学療法士が中心となり、オーダーメイドのリハビリテーションを提供します。

1. 評価(体の状態を知る)

まず、理学療法士が患者さんのお話を詳しく伺い、現在の体の状態を丁寧に評価します。

  • 問診: どこが、どのように痛むのか、どんな時に困るのか、日常生活での動き、これまでの治療歴、目標などをお聞きします。
  • 身体機能評価: 関節の動きの範囲(可動域)、筋肉の力(筋力)、体のバランス、姿勢、歩き方などを細かくチェックし、痛みの原因や体のどこに問題があるのかを探ります。
2. 治療目標の設定(「こうなりたい」を共有する)

評価結果をもとに、患者様と一緒に「リハビリで何を達成したいか」という具体的な目標を設定します。

  • 例: 「痛みがなく階段を上れるようになりたい」「ゴルフを再開したい」「孫と公園で遊びたい」など、皆さんの生活に密着した目標を大切にします。
3. リハビリテーションの実施(体を動かす訓練)

設定した目標に向かって、様々な手法を用いてリハビリを進めます。

  • 運動療法:
    • 関節可動域訓練: 固まってしまった関節の動きを柔らかくするストレッチや運動を行います。
    • 筋力強化訓練: 弱くなった筋肉を鍛え、体を支える力をつけます。
    • バランス訓練: ふらつきを改善し、安定した動きができるように練習します。
    • 歩行訓練: 正しい歩き方を身につけ、安心して歩けるように指導します。
    • 動作指導: 日常生活やスポーツでの効率の良い動き、痛みを避ける動きなどを具体的に指導します。
  • 物理療法:
    • 必要に応じて、電気治療(低周波など)、温熱療法、牽引療法などを併用し、痛みの緩和や筋肉の緊張を和らげます。
4. 自宅での運動指導(リハビリを継続する)

クリニックでのリハビリだけでなく、ご自宅でも簡単にできる効果的な運動やストレッチを指導します。リハビリは継続することで効果が高まりますので、日常生活の中に取り入れていただくことが重要です。

5. 定期的な評価と目標の見直し

リハビリの 進捗 を定期的に評価し、目標を達成したら次のステップへと進んだり、必要に応じて目標を見直したりしながら、きめ細やかにサポートしていきます。


運動器リハビリテーションで大切なこと

  • 継続すること: 症状の改善には時間がかかることもあります。諦めずに、医師や理学療法士と一緒に地道に続けることが大切です。
  • 積極的に参加すること: リハビリは、患者様ご自身が「良くなりたい」という気持ちを持って、積極的に取り組むことで、より大きな効果が得られます。
  • 疑問や不安を共有すること: リハビリ中に痛みが出たり、疑問に思うことがあれば、すぐに理学療法士に伝えてください。

運動器リハビリテーションを通じて、皆様が痛みから解放され、再びいきいきと活動できる毎日を送れるよう、私たちも精一杯サポートさせていただきます。何かご不明な点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

訪問リハビリテーション(介護保険適用)

訪問リハビリテーションってどんなサービス?

「訪問リハビリテーション」とは、病気や怪我、加齢などによって、ご自宅での生活に困りごとがある方に対して、理学療法士、作業療法士といったリハビリの専門職が、ご自宅に伺って行うリハビリテーションサービスです。

介護保険が適用されるサービスなので、医療機関でのリハビリに通うのが難しい方や、住み慣れたご自宅で、より日常生活に密着したリハビリを受けたい方に大変適しています。


どんな時に訪問リハビリテーションを利用するの?

  • クリニックや病院への通院が難しい方:
    • 足腰が悪く、通院が大変な方
    • ご家族の送迎が難しい方
    • 体調が不安定で、外出が困難な方
  • ご自宅での生活に困りごとがある方:
    • 家の中で転びやすくなった
    • お風呂に入るのが大変になった
    • トイレに行くのが億劫になった
    • 着替えに時間がかかるようになった
    • 食事中にむせることが増えた
    • 以前より食欲が落ちた
    • 物忘れがひどくなり、家事がうまくできない
    • 外出するのがおっくうになった、引きこもりがちになった
  • 退院後の生活に不安がある方:
    • 病院でのリハビリを退院後も継続したい
    • 自宅の環境に合わせて、具体的な動作の練習をしたい

訪問リハビリテーションでどんなことをするの?

当クリニックの訪問リハビリテーションでは、患者様の「自宅でこうなりたい」という希望に寄り添い、専門職が連携して多角的にサポートします。

  1. 理学療法士(PT)が行うこと
    • 体を動かす練習: 寝返り、起き上がり、座る、立つ、歩くといった基本的な動作の練習。
    • 筋力やバランスの訓練: 転倒予防のための足腰の筋力強化や、ふらつきを抑えるバランス訓練。
    • 歩行訓練: 自宅内や近所を安全に歩く練習、杖や歩行器などの使い方の指導。
    • 介助方法のアドバイス: ご家族に対して、安全な介助方法や体の動かし方のアドバイス。
  2. 作業療法士(OT)が行うこと
    • 日常生活動作(ADL)の練習: 食事、着替え、入浴、トイレ、整容など、日常生活に必要な動作の練習。
    • 家事動作の練習: 料理、洗濯、掃除など、ご自宅で行いたい家事の練習。
    • 高次脳機能訓練: 記憶力、注意力、段取り力などの低下に対して、日常生活の場面で使える具体的な工夫や練習。
    • 福祉用具の検討・環境整備: 手すりの設置、段差の解消、シャワーチェアなどの福祉用具の選定・使い方のアドバイス。

訪問リハビリテーションを利用するには?

  1. 主治医の診察: まずは、当クリニックの医師にご相談ください。訪問リハビリテーションの必要性を判断し、指示書を作成します。
  2. ケアマネジャーへの相談: 介護保険サービスを利用するには、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう必要があります。ケアマネジャーがいらっしゃらない場合は、当クリニックからご紹介することも可能です。
  3. 利用開始: ケアプランに訪問リハビリテーションが組み込まれたら、日程などを調整して、サービスを開始します。

訪問リハビリテーションのメリット

  • 住み慣れた自宅でリハビリができる: 慣れた環境で、具体的な生活動作の練習ができるため、より実践的なリハビリが可能です。
  • 個別性が高い: 医療機関への通院では難しい、患者さんの生活空間に合わせたきめ細かいリハビリが提供されます。
  • ご家族への指導も可能: ご家族に対して、介助のコツや病気への理解を深めるためのアドバイスも行います。
  • 外出の負担がない: 通院の送迎や待ち時間の負担がありません。

訪問リハビリテーションは、ご自宅での生活の質を高め、住み慣れた場所で安心して暮らしていくための大切なサポートです。何かご不明な点やご心配なことがございましたら、どうぞお気軽に当クリニックにご相談ください。